よく自己啓発本あたりで出てくる、例題としてよくこんなのがあります。
「ここに水がコップ半分入っています。これを見てまだ半分もあるじゃないかと思える人はポジティブな考え方が出来る人。逆にあと半分しかないと思ってしまう人はネガティブな考え方の人」
これからポジティブな人は心に余裕があってプラス思考の考え方が出来る。
逆にネガティプな人は心に余裕がなくってマイナス思考だと言われるんですね。
でもこの質問ってよく考えるとおかしくありませんか?
実は状況が全く書いていないんです。
例えば、真夏の暑い日に汗だくで外から帰ってきた時に、コップ半分の水を見たら、まず殆どの人が半分しかないと思うでしょう。
逆に真冬の寒い部屋の中で凍えそうな状況に、コップ半分の水を見たら、まだ半分もあると思えるでしょうね。
だからこれを答える時の状況をどう思い浮かべるかで大きく変わってくる物なんです。
そして実際その状況は多くの場合はその問題を読んだ時の状況でかなり左右されてしまうかなりいい加減な質問なんですね。
じゃ今度はもっと具体的な設定に変えてみましょう。
「山で遭難しました。持ってきた食料は半分残っています。あと半分もあるじゃないかと思える人はポジティブな人? 逆にもう半分しかないと思う人はネガティブな人?
もしこんな状況だったら、まだ半分もあるじゃないかと思ってバクバク食料を食べてしまえる人はポジティブというよりバカです。
多くの人は救援隊がいつ来るか分らないから残り少ない食料を出来るだけセーブする方を選ぶでしょうし、実際こういう状況になった時は多くの人がネガティブな感覚で行動して助かっているのが現実です。
杞憂という言葉ではないですが、空が落ちてくるんじゃないかとまずあり得ない事をマイナス思考でくよくよ考えるようでは確かにバカげています。いくらネガティブシンキングの持ち主でも、そこまで思う人はまずいないでしょう。
確かに隕石が地球に激突する事や、太陽が爆発する事は決してありえない事と言えないので、そういう事でマイナス思考になる人がいるかもしれないですが、こういう事でどんなに悩んでも今の科学では回避する事は絶対に不可能な事なので、そんな事で悩んでも全然無意味なことですから、さすがにネガティブな人でもあまり考えることはないでしょう。
よくネガティブな人は万が一と言う事でもマイナス思考になってしまってくよくよしたり、心配したりする事が多いと良く言われます。そしてそれが見苦しいし陰気な気持ちがして嫌だという方もおられます。
でもそういうネガティブな人をよく観察して見て下さい。万が一ではなく、多くの場合は100回に1回、時には10回に1回ぐらいの割合で予測していなかった事が起る事に対してマイナス思考が働いているのです。
それは失敗するとか不幸なことが起こるとか漠然とした不安に対して何も行動しないでマイナス思考になっているというわけではないのです。もし不測の事態が起こったらどうしたら対処出来るのかを考えて前もって手段を考えているんです。
例えば私は大事な用事がある時は必ず予定より2,30分前には家を出ます。
それは交通機関の遅延や運休が起こりうるという考えからです。実際最近の日本は昔に比べて電車などの遅れは良く発生する事なので、個人的には当たり前の行動だと思っています。でもポジティブな方から見ると、無駄な時間を使うマイナス思考と言われますが、おかげでこの数十年間大事な用事に遅れてしまい悔しいお思いをしたことは一度もありません。
例えば、私はクラッシックのコンサートが好きで良く行くのですが、時々列車が10分、20分遅れることがあるのです。そういう時に休憩時間に慌てて入ってくる方を結構見かけます。クラッシックは開演時間を一分でも遅れると、一切入ることが出来ませんので高いお金払っていても聴くことが出来ないんですよね。
また外出時は天気予想が晴れでも必ず折りたたみの傘を持って出かけます。これも予想は外れることがあるとマイナス思考で思っているからで、おかげで突然の雨に遭遇しても困ったことが一度もありません。
ちなみにうちの奥さんは典型的なポジティブシンキングな人で、用事でバスで出かける時は何故か2回に1回は乗り遅れます。
どうして、そんなに乗り遅れるのかと聞くとバス停で待つのが嫌なのでバスの来る時間ちょうどにバス停に着くように家を出るそうです。
当然分ると思いますが、バスは列車と違ってバス停に着く時間は多少早くなったり遅くなったりするものなのですが、うちの奥さんは「大丈夫大体時間通り来るから」と言って出かけ、結局乗り遅れてしまい、結果長い時間バス停で待つ事になってしまっています。ちなみにうちはバスの間隔は30分から1時間と超ローカル路線です。
だから5分早く家を出れば、ほぼ確実に乗れると言っても、その5分がもったいないそうです。
ポジティブの人とネガティブな人との違いは、まず起こりえない事をどこまで許容範囲に出来るかで決まってくるような気がします。
ポジティブな人は感性が寛容で、ネガティブな人は感性が厳格なのかもしれないですが、個人的には厳格な人の方が失敗が少ないように思います。
その反面、厳格に行動する事は時間の無駄や、行わなくてもよい事まで行っているので非効率という場合も確かにありえます。
まあこういう基準は性格や人生での今までの経験値で築かわれてきたものと思いますので、感性の度合いに関しては急に変えられるものではないでしょう。
だからネガティブな人が明日から急にポジティブな考え方に変えるというのは、かなり無理があるのではないかなと思っています。
でも、基本的なことは感性のちょっとした度合いの違いだけなので、自分自身ネガティブな状態が嫌でなければ、それで良いのではと思っています。
私自身自己啓発書に即発されポジティブになりたいとずっと思っていましたが、結局今のままの方が生活に支障もないし、意外とストレスフリーに生きて行けていることに気づいたので、今では特に変えようとは思いません。
でもやっぱりネガティブな性格が嫌な人も多いと思いますので、どうすればポジティブになれるかという話もこれから追々と書いていきたいと思っていますので、引き続き読んでいただければ幸いです。
