今の日本は、単身世帯が急速に増えてきています。
ある統計では、日本全体で半数は単身世帯と言われており、その単身者の多くが65歳以上の高齢者であるといわれています。
確かに、最近は結婚後に親と同居する方もほとんど見かけなくなったという事もありますが、親自体子供と一緒に生活することに対して煩わしさを感じて、同居したくないという人も多くなっています。
また地方から都会に仕事や学校の関係で引っ越して単身生活をしている方も多くいますが、ほとんどの方は隣近所との付き合いもせず、かなりの人が孤立を感じながら生活をしていると言われています。
あと、最近増えてきているのは、結婚後子供が生まれて育児をしているが、近くにママ友もいないし、親とも疎遠になっているために、育児に関して相談したり、頼ることが出来る人がいないという人が増えてきています。
最近は人間関係の付き合いが煩わしいために、人と接することを敬遠してしまった結果、友人も頼れる人も周りにおらず、困ったときに相談する相手もいないために一人で苦しみ考えてもどうすることも出来ずに、気がついたら精神疾患を発病する人もかなり増えてきています。
たしかに若い世代の人の中には、そう言う状態になったときはSNS等を使って、自分の状況を発信したりして、色々とアドバイスをもらったりしているのをよく見かけますが、正直言って個人的にはあまりお勧めはしません。
その理由となるのは、アドバイスをする人自体が知り合いでもなく、多くの場合匿名であるため、かなりいい加減なアドバイスしかしていない場合がかなりあることです。
アドバイスをする方にしては、その結果どうなろうと知ったことじゃないというのが本音なのですから。
もっとひどい人になると、「他人の不幸は蜜の味」ではないのですが、困っているさまを見て喜んでちゃかしたりして楽しむ人までいます。
LINEやFaceBookにしても、自分が確実に知っている友人などであれば、ある程度真剣に聞いてくれるでしょうが、いつ知り合ったか分からない人達のグループ等に自分の相談を投げかけても、どれだけ真剣に答えてくれるか分からないというのが現状でしょう。
そのために、普段から友人や相談が出来る身近な人を作っておく必要があるわけなのですが、今の世の中意外とそう言う人物を持っていない人が多いようです。
実際ある調査で載っていた統計ですが、2,30代の子育て世代の女性に育児で困ったときの相談相手がいますかという質問に対して、いないと答えた人が約2割、1人か2人の人を合わせると約4割の人がほとんどいないという結果が出ていました。
ママ友はいるけれども、相談が出来るほど親しい人はほとんどいないというのが、今の現状なのかも知れません。
それと同じように独り暮らしをしている新入社員や、学生となると、もっと相談相手がいないという人は増えてくるでしょうし、現実的にどうやって対処しているのかが気になります。
老齢者となるともっと悲惨かも知れません。
都会で暮らしている独り暮らしの老人の方は、近所付き合いもされず、老人会や地域活動も参加されず、まるで引きこもりのように、世間から隔離された生活を行われている方が多くおられます。
そのために病気になっても気付かれず、亡くなられてしまう方も毎年かなりの数になります。
年寄り臭い話になるかも知れませんが、昭和の時代では、子育て世代で孤立している人がいると、近所のお母さん達が余計なお世話かも知れないけれど、色々と聞いてきたり、子育てのアドバイスをしてくれていました。
地方から単身で出てきた社会人や学生も、今のようにワンルームマンションに暮らして、周りから隔離した生活のように全然付き合わないのではなく、多くは寮や下宿に入り、仲間や先輩と共同生活をする中で、相談が出来たり、孤立感にならないような環境になっていました。
独り暮らしの老人に対しても、ちょくちょく近所の人が様子見に尋ねたり、子供達が遊びに来たりして孤立感が少なかったです。だから新聞に老人の孤独死などは新聞のネタになるほど珍しいことでした。
確かに、自分は自由にしたいのに周りから色々とかまわれることは、当時でも決して嬉しいことではなかったです。特に寮生活などの団体生活は苦痛が多く、私も経験がありますが早く出たいという気持ちばかりでした。
だから、昭和の時代が良かったとは言いません。煩わしい時代であったことも事実です。
しかし、人との繋がりや孤独感からの解放や相談事をなどに関しては、今と比べてかなり楽な時代でした。
そのためには、多少煩わしいことですが、人間関係や、自分の主張だけではなく、相手を立てて友達づきあいをするような寛容な心を持って人と接して行くことは本当に大事だと思います。
自由に自分勝手に生きるのは一番簡単で、一番楽な生活スタイルかも知れませんが、人は絶対に一人では生きていけません。仲間や友や知人、同僚等色んな人が支えてくれていることに気付いて生きていく必要があります。
今のネット社会でSNSを見てみれば分かりますが、本来なら友達や同僚と酒飲んで愚痴れるような話が、山のように書き込まれています。どれだけ多くの人が誰かに相談したいのか、自分の不満や愚痴を聞いてもらいたいと思っているのかが分かります。
SNSでいくら、書き込もうが訴えようが、問題が解決することがどれだけあるでしょうか。そしてどれだけ自分の気持ちが楽になるでしょうか。
本当に、自分の心や気持ちを楽にしたい、問題を解決したいと思うのであれば、リアルな世界で聴いてもらえる人を作ることがとても大事です。
それは決して簡単な事ではありませんが、その大事な事をある程度若い年代のうちからやっておかなければ、老年期になった時に本当に寂しさしか待っていません。そうならないためにも友人や相談者が常にいる人との繋がりを作っていってもらいたいと思います。

