うつが再発したのはパワハラ攻撃だったんだ

最初のうつが治ってからは、本当人生バラ色、毎日が楽しいという感じが続いたんだ。なんと言っても僕とすれば絶対に出来ないと思っていた結婚がまた出来たって事が一番嬉しかったね。それが原動力となって仕事にも家庭でも遊びでも積極的に動く事が出来たんだ。だから基本はネガティブマンだったおいらも、この頃はかなりポジティブマンだったと思うよ。

会社に入って１２，３年ぐらいたった頃、ちょっとかなり会社が危なくなってきたんだ。それでだいぶん人員整理とか経費カットとかが行われたんだけど、一番ショックだったのは今まで会社のシステムは自社開発をしていたんだけれども人件費も開発費もバカにならないという事で既存のパッケージソフトを使う事に方向転換されたんだ。そのため自分の居場所が無くなっちゃたんだ。

クビにはならなかったけれども、給料は大幅にカットされちゃったな。一番多い時に比べて半分ぐらい。その上仕事も雑用専門になっちゃったから、本当何時辞めてもいいよという体制に追い込まれちゃったわけね。

そういう事だよ。年齢的もガタが来る頃だったから、どっと気分が落ち込んで体がまたボロボロに錆び付いて動かなくなっちゃった。仕方がないので心療内科にまた行き始める事になっちゃったんだ。それでも調子がかなり悪かったので、ある日三日間病欠で休んだんだ。それでも戻らないので顔色悪い状態で会社行ったら、上司から「仕事やる気ないのならいつでも辞めてもいいよ」と嫌み言われてしまったんだ。さすがにこれで完全に壊れちゃった。

辞めなかった。生活できなくなるのが怖かったからね。前の会社が潰れた時に失業する事の怖さをずいぶん体験させられたから二度とそういう事にはなりたくなかった。それで抗うつ薬飲んで、ごまかしごまかし仕事をしていたけれども、前にも書いた事だけどこの手の薬って飲むと気持ちが緩和される代りに凄い睡魔に襲われる事があるんだよ。その為ある時上司の前で仕事中に不覚にも寝てしまったんだ。

もう上司からは土豪の怒り声をいただいてしまったよ。「何の病気か知らないけれど、いくら薬のせいだと言い訳しても、今度こんなことがあったらそれなりの処分を覚悟しておけ」って。実は人員整理が始まってから精神的に追い詰められる人が増えたせいか、うちの会社でもうつの人が結構出て、私のこの事があった時には既に３人ほどの人が解雇にされていたんだ。実際上司のひとりは「怠け者病の人間はいらない」って公言していたから、今度は自分の番だと覚悟を決めたよ。

やっぱり勇気がなくって辞められなかったんだ。結局自分として出来た事は仕事中は薬を飲む事を辞めた事と、出来るだけ睡眠を取って体を休める事だけだったんだ。その為それ以降は仕事中の居眠りはなくなったけれども、薬を飲んでいないから治る病気も全然治らないし、その上仕事をしていても凄い不安感と倦怠感に常に襲われて、本当辛かった。結局この無理がたたって症状を悪化させてしまったので未だにうつが完治しないという状態になっているだ。

この頃はもうかなり年配者になっていて、あと５年務めたら６０歳定年という年だったんだ。だからそこまでは頑張ろうと思って仕事していた。でも本当にきつかったな。会社とすれば何かあれば解雇しようと構えているわけだから、弱音が出せないから、必死になって元気なふりをして仕事をしていたけど、毎日あと何日で会社を辞めるぞとカウントしていた。この時の五年間が人生で一番長い時間だったかな。

頑張れた理由は二つあるよ。一つは奥さんの励まし。「無理しなくてもいいよ、何時辞めてもいいからね、あなたぐらいなら私が養ってあげるから」っていつも言ってくれていたから。それからもう一つは大きな目標があったから。それは定年退職をしたら船で世界一周をする事。その為の費用もあったから辞められなかったという事もあるけど。この５年間で一生懸命計画してお金貯めて、会社辞めた５日後に世界一周の船に乗り込んでいました。

どうなんだろうな。船に乗った一番の理由は世間から逃げたかったという事だったと思うし、何もない海の上でのんびりしていたらうつも少しはよくなるんじゃないかなと言う気持ちはあったのも事実だけどね。とにかくのんびりしたかった事は本音だね。

会社にいた頃に比べたら随分ましになったと思うよ。薬を飲んでいたら普段の生活にはほとんど支障がないもの。ただトラウマなのかもしれないけど時々ものすごくうつの状態がひどくなる事があって、その時は諦めて何もしないでその状態が去るのを待っているのが現状かな。次はそのあたりの今の現状をもう少し詳しく話そうかな。